三平峠周辺の木道補修にチャレンジ
いつもはガイドツアーを開催している私たち「尾瀬やまもり」ですが、
お客さまを引率しているから気づくことも多くあります。
そのひとつに「お客さまが通過するのに危険そうな場所」というのがあります。
尾瀬は他の山岳地域よりも歩道整備が行き届いているのですが、
その特徴に「木道」というのがあり、
この木道は老朽化が進むと滑りやすくなって、とても危険な状態になりやすい整備方法です。
そして「通過が危険・困難」な状態は、お客さまの尾瀬に対する印象が悪くなるだけでなく、
危険な木道を避けてその横を歩くようになって、
周辺の環境を痛めてしまう可能性もあるので、木道のメンテナンスというのはお客さまの安全だけでなく、
尾瀬の環境をまもるためにも大切な活動になっています。
↑やまもりガイドで三平峠周辺の木道補修を行いました(2021年11月)
そういった問題意識を持つなかで、
環境省の補助金事業を活用して、木道の補修作業を行うという機会に恵まれたのでレポートとしてまとめました。
対象区間は、三平峠〜三平下までの約900mの道のりです。
↑作業区間の始まりは三平峠。雪が降り始めた季節の中で作業スタート!!
いつも歩いている場所とはいえ、補修を行うというのはガイドにとっても慣れていない活動です。
強力な助っ人として、木道工事に従事されている地元の建設会社の方々にも参加いただき、
現地調査を繰り返して補修方法を考えてみました。
とはいえ、この区間は国立公園の特別保護地区なだけでなく、特別天然記念物でもあり、
そういった関連法規に抵触しない方法を手探りで行うという、
思っていたよりも準備に時間のかかる作業でした。
↑補修作業は滑り止めの桟木(さんぎ)打ちだけでなく、傷んだ木道の組み換えも行いました。
現地での作業は雪が降り始めた11月初旬から始まりました。
滑り止めの桟木を打つだけでなく、滑りやすくなった木道は上り方向で利用可能な区間へ移設して、
いわゆる「木道の組み換え」作業が多くなりました。
作業区間の木道は約20年前に敷設されたもので、今ではあちこちに穴や凹みができていたため、
写真のような補強材を入れての細かな作業が続きました。
見た目はあまりよくありませんが、
「安全第一」と「周囲の環境をまもる」というガイド目線での補修となりました。
↑作業開始から13日目。やっとゴールの三平下に到着しました(感涙)
残念ながら写真からは「大変そう」な雰囲気が伝わってこないと思いますが(笑)
それもそのはずで、とても寒い季節の作業だったのにも関わらず、
ガイドたちは日常の経験から意見を出し合い、
少しずつではあるけど、シーズン中にお客さまが苦戦していたこの区間を修繕できていることに満足感を感じていました。
「少しでも自分たちにできることをやりたい」
そんな気持ちが形にできた事に、笑顔がこぼれました。
↑作業完了! 協力いただいた皆様に感謝
11月中旬に作業が無事完了となりました。
この作業には、指導にあたってくれた東京パワーテクノロジー株式会社、歩道管理者である群馬県自然環境課尾瀬保全推進室、
事前調整を行った環境省片品自然保護官事務所の皆さまのご協力で実施できました。ここに感謝申し上げます。
私たち尾瀬やまもりも、名前のとおり「やま(山)」を「まもる(守る)」活動に今後も取り組みたいと思いますので、
引き続きご指導いただければと思います。
そして尾瀬ファンの皆さまも、2022年シーズンが始まったらぜひ補修区間を歩いていただき、
率直なご意見・ご感想をいただけるとありがたいです!!
(文責:北澤吉日古(尾瀬やまもり代表、木道補修チーム責任者))